08.「この制度とブラジルに会えてよかった」

 私はブラジル研修中「ブラジル人の家族観」をテーマに調べていた。なぜブラジル人はあんなに幸せそうなのだろうか?その幸せの源は家族なのかを調べてみたかったからだ。

 調査方法は実際にブラジル人の家族と一緒にご飯を食べ、遊びに連れってもらうなど、ブラジル人の家族との触れ合いのなかで感じたことをその場でメモし、その日の夜の日記に書くことで、ブラジルの家族観を調べていった。

 結果的に1年間で21件(月に約2件ペース)の家族と触れ合うことが出来た。1年間続けたこともあり、日記帳2冊、メモ帳4冊を使い、それは今の私の宝物として大切に保管してある。今でも時々読んでみては、ブラジルで出会った多くのファミーリア(家族)と過ごした思い出が蘇ってくる。出会った家族皆が私を家族の一員のように受け止めてくれ、本当に幸せな時間を過ごすことができた。  私がブラジルで充実した時間を過ごせたのは、私を受け入れてくれたブラジル人のお陰だが、ブラジルに出発する前の事前研修で私の面倒を見てくれたOBOGの存在があったからだった。約4か月の事前研修だったが、ブラジルで研修した1年間と同じくらい学ぶことが多かった。

 事前研修を受ける前の私は、人任せで、自分でやろうとせず、なにをするにも「なんとかなる」と思っていた。そんないい加減な気持ちで物事を考える癖がついていた。 課題の提出期限の遅れ、ビザ申請に必要な書類を把握してない、ブラジルに行きたいけど、ブラジルで何がしたいのか分からない・・・・・問題を起こす度に集まってくれ、親身になって一緒に考えてくれた関西エリアのOBOG。「ブラジルで充実した研修をしてほしい」という気持ちに応えられず、私はOBOGを騙し続け、「適当に物事を進めていては、人に迷惑がかかる」と初めて気付かされた。

 関西OBOG中心にたくさんの支えがあり、私はなんとかブラジルに行くことができた。だからOBOGの為にも、事前研修で直せなかった所を少しずつ出来るところから挑戦していった。受け入れ先の工場でどんなに疲れても、家に帰れば毎日日記を書き、毎月10人を目標に私のことを支えてくれていた人達に手紙を書き続けた。「関西OBOGの期待を裏切ってはいけない。」その気持ちが私を動かし、結果充実したブラジル研修を送れることができた。もしこの制度じゃなかったら、私はブラジルで遊んでいただけだったと思う。

  研修生だった私も、今は関西エリアのOBとして、研修生をサポートする側になりますが、ブラジルで充実した研修を送ってもらえるように精一杯サポートしていきます。事前研修で自分自身の弱点を見つけ、ブラジルに行ってください。ブラジルは日本のように慌ただしい生活ペースではないので、自分のペースで少しずつ出来るところからチャレンジすれば絶対変われますし、人生の転機になると思います。


中務雄介 Yusuke Nakatsuka

1987年、大阪府出身。2008年度研修生。サンパウロ州ソロカバ市/日系企業の工場で研修。ブラジル研修実行委員関西エリア担当。

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