07.「なんでもありの国、ブラジル」

 私が日本ブラジル交流協会の23期生としてブラジルに足を踏み入れたのは2003年4月。あれからもう5年も経つ。私が敬愛している叔父、つまり母の弟だが、いつか私に言った言葉がある。
「幸せとか運ってもんは、待ってても来るモンじゃない。自分から行ってつかみとるモンだ」

 いつ、どんな状況で言われたかも全く覚えていないが(おおかた酔っ払った席であろう)、私は無意識のうちに、自分の生き方の軸にしている。

 好奇心旺盛のくせにめんどくさがり、海外に興味津々だが、日本が世界一素晴らしい国だと心の底から思っている、という相反する要素を盛り込んでいる私。でも、この言葉に導かれて、自分の夢「海外で生きてみる」を叶えてみる気になり、ブラジルに来たというわけ。

 この研修制度に参加して、一年ブラジルに住んだからといって、人生が180度転換するわけでもなく、その後の人生バラ色になるわけでもない。ブラジルの一年が、全て楽しいわけでもない。言葉がワカラナイ、仕事はシンドイ、すぐ浮浪者にタカラレル、などなど。今となっては全て良い思い出だが、当時は日本に帰りたくて泣いた夜もあった。だけど私はなんやかんやで、気付いたらまだブラジルにいる。勿論、ここで夫となるうちなーんちゅ(沖縄人)と出会ったという理由もあるが、やはりブラジルが好きなんでしょう。休日の昼下がりに、友人達と呑むビール、大音量で聴くAxe音楽、目が合ったら他人でもとりあえず挨拶・・・。
 
 その一方で、許せない部分もたくさんある。マクロ的に見ると、貧富の格差、凶悪な犯罪が野放し、私利私欲っぷり全開な政治家。ミクロの視点でいうと、店員さん態度悪い、嘘つき多い、とんでもなくケチな人ばっかり(これは私の住むMinasGerais州の人間だけらしい)、などなど。特に貧富の格差は、私は今後何年住んでいくとしても慣れないし、慣れるべきでないと思っている。まあ、そういうことは、実際にこちらに来て、いろいろ感じていただければ、と。

 とにかく、ブラジルは良いこと悪いこと含めて、もうなんでもありの国だ。だって、ブラジル、広いじゃないですか。なんでもあり、で当然といえば当然なのかもしれない。そういう「なんでもあり」を目の当たりにすると、考えたり悩んだりして、自分の価値観を再確認できるんじゃないかな・・・と偉そうに思ってみるけど、私もまだまだ再確認中。ま、いいじゃんね!ボチボチやりましょう。ブラジルはあなたを待っているかもしれません。


    照屋あゆみ Ayumi Teruya

    旧姓鳥居あゆみ。23期研修生。ミナスジェライス州ベロ・オリゾンテ市の日本語学校で研修。 研修中に知り合ったご主人と結婚、ベロ・オリゾンテ市在住。主婦。

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